2019年09月

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【てくさぽBLOG】IBM Cloud Pak for Dataを導入してみた

こんにちわ。
てくさぽBLOGメンバーの佐野です。

2019年7月9日に IBM が RedHat の買収完了を発表しました。
RedHat の買収で IBM が得るものはいくつかありますが、その中でも特に “OpenShift” がハイブリッドクラウドのプラットフォームとして注目を集めています。
IBM は OpenShift を使って、IBM Cloud だけでなく AWS や Azure、GCP 上などのパブリッククラウド上でも簡単に IBM のソリューションを利用できるようにすることを考えています。
それを実現するための製品が “IBM Cloud Paks” シリーズとなっています。

1.IBM Cloud Paks とは?

IBM Cloud Paks には2019年9月17日時点で5つの製品が出ています。

IBM Cloud Paks は単に 既存のIBM のソリューションをコンテナ化して提供しているだけでなく、可用性・拡張性が確保された上で企業ユース向けの様々な機能が実装された状態で利用できるようになっています。
そのため、個別に製品を購入し自力で様々なインフラ設計・設定をする必要がありません。
そんな IBM Cloud Paks シリーズの中でも今回は IBM Cloud Pak for Data(以下 ICP4D)の導入をしていきます。
ちなみに、今回の導入は kubernetes 環境としては OpenShift ではなく IBM Cloud Private を利用します。

2.IBM Cloud Pak for Data

さて、今回導入する ICP4D はそもそもどういうソリューションなのでしょうか?
一言でいうなら、「データ分析のためのプラットフォーム」となります。

ICP4D を使って、データの収集・整形・カタログを整備して分析ツールにデータを渡し活用することができます。
このソリューションが特に効果を発揮するのはデータを分析ツールに渡すための前処理の効率化です。
データのカタログを作るための自動化支援機能(割り当てる用語の推奨やデータクラスの自動判別)を持っているため、人間がゼロから登録をする必要がありません。
また、本ソリューションに組み込まれている製品だけでなく、Add-on として使いたい製品を追加することができるので、「今は使わないけれど将来的に・・・」という対応も可能です。
「データ分析を個別の部署内だけでなくて対象を広げたい」「データ分析のためにいろいろなツールを使っていて運用負荷が高くなってきた」というようなお客様には最適なソリューションとなります。

3.事前準備

ICP4D 導入前の事前準備としては、

  • システム要件の確認
  • OS の設定

が必要になります。

システム要件は IBM の Knowledge Center を確認しましょう。
Installing Cloud Pak for Data
日本語での表示もできますが、最新の情報を確認する場合には英語表示にしてください。
今回は検証環境なので3ノードクラスタ(Master/Worker の機能を3台に導入する)構成とします。
環境は以下の図のようになっています。

今回はオンプレ環境なので ICP4D の画面へアクセスするために割り当てる仮想 IP を2つ用意します。
また、Add-on を追加で導入するため、CPU /メモリは最小要件よりも多く確保しています。

準備する環境について簡単にポイントを整理しておきます。

<CPU>
最新の CPU であればそれほど気にする必要はありませんが、SSE4.2 や AVX/AVX2 をサポートしている必要があります。
また、10ユーザー程度を想定した要件であるため、追加の Add-on やユーザー数が増加する場合には、コア数を多くした方がよいでしょう。
特にデータ仮想化機能を使う時にはインスタンスを作成するときに CPU やメモリを割り当てる必要がありますので、事前にどの機能に対してどれぐらいの割り当てをするのか検討をしておきましょう。

<メモリ>
メモリについても CPU 同様に、使う機能やユーザー数に応じてどれぐらいのリソースが必要になるかを検討します。

<ディスク>
ディスクについてはシステム要件内にも記載がありますが、root ファイルシステムで最低 100GB、インストールパス (ex. /ibm) で 500GB、データパス (ex. /data) で 500GB が必要になります。
この容量は最小要件なので、追加でインストールする Add-on やデータ容量によって追加のリソースを用意する必要があります。
また、root 容量はインストール前に警告が出てくるので 200GB 程度は割り当てしておいた方がよいでしょう。
ディスクにはパフォーマンス要件もあります。
よっぽど変なディスクでなければ問題ありませんが、Latency テストで 286 KB/s、Throughput テストで 209 MB/s が必要になります。※詳細はこちらの「Disk requirements」パートを参照下さい。
パフォーマンスについてもインストール前にチェックされるため、満たさない場合には警告が出てきます。 ※警告なのでインストールを進めることはできます。

<OS>
OS としては Redhat Enterprise Linux 7.5 以上が必須となります。

OS 設定するポイントが多いので簡単ですが以下にまとめます。

  • ネットワークポートへ静的 IP アドレスの付与
  • DNS サーバーは必須
  • タイムゾーン設定
  • 時刻同期設定(chrony)
  • Firewall の無効化
  • SELinux の設定(permissive)
  • インストールパス/データパスに対してファイルシステムの設定変更(noatime 設定)
  • First Master ノードから他のノードへの SSH 接続設定(パスワード無し接続)
  • (必要に応じて)Docker registry 設定

インストールする環境の準備は以上になります。
事前準備まで完了したら一度バックアップを取得しておきましょう。インストールに失敗した時に、OS を再導入し、1から設定をやり直すのは結構時間がかかりますので。 ※ここは結構重要なポイントです。

4.導入

ICP4D を導入するためのプログラムを Passport Advantage サイトからダウンロードしましょう。
入手方法はこちら
インストールの実行には、当然ファイルに対して実行権限をつけないと進まないので、tar ファイルを解凍した後の “installer.x86_64.nnn” に +x 権限を付与することを忘れずに。
ICP4Dのインストール実行する前に、設定ファイルを作る必要があります。
環境に応じてファイルの内容を変える必要がありますので、こちらを参照しながら設定ファイル(wdp.conf)を作成しインストールパスに配置しましょう。

インストール実行前に事前チェックツールをダウンロードし実行します。
入手方法や実行方法はこちらに記載があります。
エラーや警告が出ていれば何か問題が発生していますので、メッセージをよく読んで解消しましょう。

事前チェックツールの実行をクリアすればいよいよインストールの実行です。
インストールの実行方法は設定ファイル(wdp.conf)作成の URL の項番5に記載があります。
が、インストール実行前にちょっと待ってください。
v2.1.0.2 でのインストールには約2.5時間ほどかかります。(環境や設定によって前後することがあります。)
インストール開始後にコンソールを切断すると途中経過が分からなくなってしまうので、十分な時間を確保した上で実行するか、screen 上で実行して、切断した後でも途中経過が分かるようにしておくことをお勧めします。

また、インストールのログは以下のディレクトリ下に “wdp ほにゃらら”というファイル名で出力されているので、必要に応じて確認してください。
(インストールパス)/InstallPackage/tmp/
インストールを実行したコンソール上で出ないログも表示されるので、止まっているように見える場合にはこちらも確認した方がよいかもしれません。
※インストールイメージを他ノードへ転送するところで結構時間がかかる場合が多いです。

インストール完了するまでの間ずっとログを見ていてもよいですが、(上記のような時間がかかる処理で)止まったり、Warning が大量に出るとドキドキヒヤヒヤしますので、「止まったら対処する」ぐらいの気持ちでいた方が精神衛生上よいです。

5.ICP4D 導入後

環境や構成にも依存しますが ICP4D v2.1.0.2 では約2.5-3時間程度で導入が完了するので、その間はひたすら待ちます。
インストールが無事に終わると、以下のようなメッセージが出てきます。

Installation was successful and took 02:55:05
Access the zen web portal using the following URL: https://xxx.xxx.xxx.xxx:31843

このメッセージが表示されれば無事 ICP4D の導入は完了です。記載されている URL にアクセスをして ICP4D の画面にログインしてみましょう。
ログインできて下のような画面が表示されれば OK です。必要に応じて Add-on の導入などを実施ください。
※画面表示はブラウザの言語設定に依存します。添付画面は日本語設定になっているので日本語で表示されていますが、英語表示になっている場合にはブラウザの言語設定をご確認下さい。

Add-on の導入については Knowledge Center に記載がありますので、導入する Add-on 毎に用意するもの・手順をご確認下さい。該当箇所はこちら

もし、エラーや Warning がログ上に表示されるようであれば、各ノードに対して設定変更をするなどで問題を解消するように対処して下さい。

6.まとめ

ICP4D のインストーラは自動化されており、実行したらインストールが完了するまで人間が何か操作をする必要がありません。(最初に Y や A や Enter を押す必要はありますが。)
半面、途中でインストーラがエラーで止まってしまうと retry で先に進められれば問題は無いのですが、同じ場所で何度も止まってしまい、先に進まない場合にはエラーの原因を取り除くために多大な労力がかかります。
なので、本番導入前に何度もインストールを試してみるといった事前準備をしっかりしておくことが重要です。
OS 設定が漏れている、必要スペックが不足している、などの環境・事前設定以外の要因で止まってしまった場合には、原因究明や対処が難しい場合がほとんどです。
同じ環境・設定であっても OS レベルから再導入することでうまくいくこともあるので、うまくいかない場合には自力での問題解決にはある程度で見切りをつけて OS レベルから再導入することもご検討ください。

 

この記事に関する、ご質問は下記までご連絡ください。

エヌアイシー・パートナーズ株式会社

技術支援本部

E-Mailnicp_support@NIandC.co.jp

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2026年02月26日

【参加レポート】「watsonx Tech Challenge 2025」に参加してきた

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2026年02月26日

【てくさぽBLOG】IBM Bobで市民開発に挑戦

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2026年02月26日

【てくさぽBLOG】IBM BobでRPG解析!複雑なロジックを一瞬で整理し、実務の即戦力に

更新日:2026-02-26 公開日:2025-12-24 [2026年2月26日追記]IBM Bob の提供開始日(GA)が発表されました。 2026年3月24日 また、Early Access 版の新規受付は終了となりました。 *  *  *  *  *  * こんにちは。てくさぽBLOGメンバー村上です。 今年の10月にIBM Tech Xchange 2025 Orlandoにて電撃発表された話題のIBM Bob はご存じですか? 今回は、IBM Bob をTech Preview版で検証している状況をタイムリーにお伝えいたします! 目次 IBM Bobってどんな製品? Explain機能を試してみた Explain機能の他社製品との比較 さいごに お問い合わせ IBM Bob ってどんな製品? IBM Bob は、2025年10月の IBM TechXchange 2025 Orlando で発表された AIエージェント型のIDE(統合開発環境)です。 単なるAIアシスタント開発を超え、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を自律的に動かし、生産性と品質を大幅に向上させることができる製品です。 IBM Bobが得意なこと ソフトウェア開発とモダナイゼーションを変革 • 複数のモード (プラン、コード、質問、アドバンスド) を装備 • アプリケーション設計、コード説明、コード生成、テスト生成、ドキュメント作成 • 開発者の作業に応じて最適なLLMを選択 幅広い言語に対応 • RPG, COBOL, CL, SQL, DDS • Java, Python, JavaScript, TypeScript, Node.js, bash など IBM Bobを利用するメリット 「システムの理解」にかかるコストを戦略的投資へ転換 ・開発スピードが劇的に向上 ・エンジニアの業務時間の多くを占める「既存コードの解析」という非生産的な時間を、AIによって極小化 ・解析に費やしていた膨大な工数を、新しいビジネスモデルの構築や機能拡張へ再配置 プロジェクト内の知識共有(可視化) ・プロジェクトメンバー全員が常に「今、正しく動いている仕様」を共有できる ・新メンバーへの引継ぎが容易で立ち上がりが早くなる AIによる標準化でガバナンスの聞いた開発体制を実現 ・品質のばらつきを抑えエンタープライズレベルのガバナンスを維持し構築を支援   定型的な解析はBobに委ね、エンジニアはより高次元な創造性に知力を注ぐ。 そんな、互いの強みを活かし合える知的な相棒になってくれそうです! Explain機能を試してみた 検証の背景 今回、IBM i(AS400) で利用する言語、RPGにフォーカスして検証を行いました。 現在、多くの企業で課題となっているのが、IBM i(AS400)上で長年稼働し続けているRPGプログラムの保守・継承です。 IBM i はその堅牢性ゆえに、10年以上前に書かれたコードが一度も改修されずに現役で動き続けているケースも珍しくありません。 しかし、その代償として「詳細設計書が消失している」「担当SEが高齢化し仕様がブラックボックス化してしまいそう」という深刻な問題が浮上しています。 後継者不足も重なり、このままではシステムの維持そのものが危ぶまれる未来がすぐそこまで来ています。 そこで期待されるのが、AIの力による「リバースエンジニアリング」です。人力では途方もない時間と労力がかかる既存コードからの仕様解読をAIが肩代わりし、さらに「現役エンジニアがそのまま実務に使えるレベルの、精度の高い設計書」を書き出すことができれば、属人化の解消へ向けた大きな一歩となります。 IBM Bobには、主に以下の4つの強力な機能が備わっています。  - Explain(説明):プログラムを解析、説明  - Transform(変換):プログラミング言語のバージョンアップ、モダナイズ  - Refactor(リファクタリング):コードの構造を最適化、保守性の向上  - Generate(生成):プログラム・アプリケーションの作成 今回の検証は、上記の背景より「Explain(説明)」機能に主眼を置いています。 IBM Bobが複雑なRPGの構造をどこまで正しく理解し、実務に耐えうる高精度な詳細設計書を再現できるのかを検証しました。   検証内容 検証では、ローカルPCに保管した既存のRPGプログラムを対象に、IBM Bob がどこまで実務に即したアウトプットを出せるかを試しました。 【検証のステップ】 事前準備: RPGのプログラムが保管されているローカルフォルダを参照先として指定 基本操作: Bobのチャット画面にて、解析対象のRPGプログラムを指定し「プログラム詳細設計書」を作成するように日本語(自然言語)で指示 環境拡張: Bob内のメニュー「Extensions」から「Mermaid Chart」のPluginを導入。出力された構成図(Mermaid形式)をより視覚的に確認できる環境を準備。 【検証の結果】 検証を通じて驚かされたのは、Bobの解読の速さと正確さです。 RPG特有の複雑な指標や深いネスト構造であっても、ロジックの骨組みが明瞭に描き出されており、要点が紐解かれるような丁寧さと平易さを兼ね備えたアウトプットとして提示されました。そして、文章による解説に加え、Mermaid図によって視覚的に補完されたフローは非常に分かりやすく、文字だけでは追い切れない処理の全体像を一目で把握することが可能となりました。 Bobで作成したプログラム詳細設計書は、これまで他社のAIツールを試しては『実務で使うにはまだ早い』と限界を感じてきた熟練の技術者さえも、思わず目を見張るほどの解析精度でした。 そして、Bobのチャット画面で指示を出す際の「Enhance Prompt(プロンプト強化)」ボタンは非常に便利でした。 「Enhance Prompt」ボタンは、指示内容をAIが解釈し、より精度の高い回答を引き出すために最適なプロンプトへと補ってくれます。 これにより、AIへの指示出しに慣れていない技術者でも、簡単に質の高い設計書を作成することができそうです。 今後の検証 現在、プログラム設計書作成の次のステップとして、作成したプログラム詳細設計書を利用してコード生成(Generate)やコード改修(Refactor)を行う検証を実施しています。 これにより、コードに直接手を入れなくても、詳細設計書の一部分を人間の言葉で直すだけでコード側に修正が及ぶようにできると考えております。 また、人間が気付かない関連している他のプログラムコードの修正箇所も気付いてくれるかもしれません。 また、Bobのチャット画面で、回答の精度を最大化するために、チャットモード(※)を切り替えた検証も行っており、Bobと対話しながら特定箇所を修正・作成することも試行しています。 ※「チャットモード」のおススメ利用シーン(Bob自身に聞いてみました)  - Code: コード作成・修正時  - Plan: 設計・計画立案時  - Ask: 質問・説明が欲しい時  - Advanced: 複雑なコード実装時 Explain機能の他社製品との比較 さて、チーム内では他社製品も交えた横並びの比較検証を進めています。 同じ指示(プロンプト)を出し、コード解説の深さや図解の分かりやすさをプログラム詳細設計書(Explain機能)作成の観点で比較しましたのでご紹介します。 項目 IBM Bob A社製品 B社製品 解析制度と網羅性 ◎ 高度な構造解析と高精度な図解 〇 基本情報の列挙と標準的な図解 〇基本値の抽出がメイン 可読性・理解しやすさ ◎ 豊富な図解量と手順レベルの解説 〇 簡潔な説明(Bobに比べ情報不足) △ パラメータの羅列に近い 柔軟性・拡張性 ◎ 任意フォルダ参照・MCP連携に対応 〇 MCP連携対応 〇 MCP連携対応 総合判定 ◎ 〇 〇 ※入力するプロンプトの内容によって得られる結果が異なる場合があります 今後、Generate機能やTransform機能でも比較検証を続けてみたいと思います。 さいごに 私自身、Bobに出会ってその賢さに驚かされましたが、今では複雑なコードを健気に読み解いてくれるBobが、どこか可愛らしい相棒のようにも感じています。 今回の検証を通じて、あまりに古すぎて誰も手を付けたがらなかったRPGプログラムも、決して攻略不可能なものではないと確信しました。 Bobという頼れる相棒がいれば、眠っていた過去の遺産は必ず未来の資産へと変えられます。 皆様もぜひ、この新しい開発の形を体感してみてください。 Tech Preview版 申し込みURL: https://ibm.biz/Try-Bob 末筆ながら、本年も「てくさぽBLOG」を見てくださりありがとうございました。 新しい年が、皆様にとってさらなる飛躍の年となりますよう心よりお祈り申し上げます。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp     .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

2026年02月18日

【開催レポート】IBM様主催 Bobathon in Tokyo - IBM Bobで何が生まれた?

公開日:2026-02-18 2月12日、日本IBM様 箱崎オフィスにて、弊社(NI+C Partners)のパートナー様を対象としたハッカソン「Bobathon(ボバソン)」を開催しました。 Bobathonでは、次世代AIエージェント型開発支援ツールである「IBM Bob」を活用。 USより来日したIBM Bobの開発責任者や、GlobalのTechリーダーをファシリテーターに、 Early Access版(早期アクセス版)のBobを使い倒す、非常に濃密で実践的なワークショップとなりました。 目次 イベント概要 IBM Bobで形にした驚きの活用アイデア パートナー様からのリアルな声 今後の展望とアクション お問い合わせ イベント概要 参加: 7社 17名 目的: IBM Bobを用いた自社利用の具体化、およびお客様への提案アイデアの磨き込み 手法: IBM Bobの実機を使用し、テーマに沿った実践的なプロトタイピングを実施 IBM Bobで形にした驚きの活用アイデア 各社チームに分かれ、Bobを操作しながら導き出された活用案は、どれも現場の課題に即した非常に具体的なものでした。 業務自動化: 紙の社内申請のデジタル化、RFP回答の自動補助、プロジェクトメンバーの最適アサイン 開発・モダナイズ: レガシーRPGコードの解析・モダナイズ支援、ETL構成の自動確認・移行 戦略・分析: 食品ロス防止の在庫分析、特許情報の収集・解析による知財戦略の高度化 スピード開発: キャンペーンサイトの短期間構築・運用 パートナー様からのリアルな声 実際にIBM Bobを触り、他社の活用法を目の当たりにした皆様からは、驚きと期待の声を多数いただきました。 他のパートナー様のアウトプットを見て、業務活用のイメージがぐんと広がりました 自分の中にはなかったアイデアに触れ、非常に刺激になりました 「ついに開発もここまで来たか!」と驚きました。実機を触ることで、想像以上に参考になるイベントでした 立場や業務によって、Bobの用途が無限に広がることを実感できました 今後の展望とアクション 今後は、検討いただいた内容をクライアントゼロとしてご活用いただくこと、および、実案件への提案展開を全力でご支援してまいります。 また、弊社は今後も、IBM様と協業し継続的な「Bobathon」の開催を予定しています。 IBM Bobの社内評価・PoC・導入ご支援 お客様への提案同行のご依頼 これらに関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 最後になりますが、ご参加いただいたパートナーの皆様、そして素晴らしいファシリテーションをいただいたIBMの皆様、本当にありがとうございました! お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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